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コンクリートのひび割れ補修方法

生コン(生コンクリート)は、砂利と砂、そしてセメントに水を加えて混ぜたものです。

 

型枠内に生コンを流し込む作業を、コンクリート打設といいます。
打設したコンクリートは、セメントと水が反応して、
次第に強度が上がりますが、同時にコンクリートの中の水の一部は蒸発して失われ、
水が蒸発して乾燥すると共に、コンクリートは収縮します。

 

このようなコンクリートの性質は、一般に乾燥収縮と呼ばれています。
収縮量は、普通のコンクリートで、10mに対して6mmほどです。
柱や梁など鉄筋量が多い部分は、この程度の乾燥収縮ではひび割れは生じにくいです。
ですが、柱や梁と比較し、鉄筋量が少ない外壁は、
この乾燥収縮によってひび割れが生じやすくなります。

 

乾燥収縮のひび割れは、粘度が乾燥すると生じるひび割れと同じようなものですが、
粘度とコンクリートとでは違う点があります。

 

それは、ひび割れの原因が単純な乾燥による収縮だけではなく、
乾燥収縮に温度変化による収縮が加わって生じるという点です。

 

コンクリートの乾燥収縮ひび割れの原因をより性格に言うと、
乾燥収縮に温度変化による収縮が加わり、
生じた力がコンクリートの引っ張り強度を越える部分に生じます。
実際、コンクリートのひび割れは
温度が低下する秋から冬にかけて生じるという報告もありますし、
国内では温度変化が少ない沖縄県では、
ひび割れが生じにくいという報告があります。

 

乾燥収縮ひび割れは、0.1〜0.3mm程度のひび割れ幅であることが一般的です。

 

温度変化によって、幅は、最大で0.1mm程度の動きを伴います。

 

東京工業大学建築物理研究センターの研究結果では、
鉄筋コンクリート外壁で幅0.4mm程度のひび割れ幅の動きを測定した結果を発表しています。

 

そのデータによると、17℃の温度変化によって0.43〜0.49mmの幅の変化が生じています。
たった0.06mmという変化であるのは、
コンクリートにひび割れが生じても、埋没されている鉄筋が切れているわけではなく、
繋がっているからです。

 

 

コンクリートまたはモルタルのひび割れの補修方法

 

コンクリートまたはモルタルのひび割れの補修方法には、
(1) Vカットシーリング工法
(2) エボキシ樹脂注入工法
(3) 弾性エボキシ樹脂注入工法
(4) 「微弾性フィラー」塗布工法
(5) 「塗膜防水材外壁用」塗布工法
があります。

 

このうち、(1)〜(3)は、打ち放しコンクリートの補修に採用されていますし、
(1)〜(5)のいずれも、吹付け・塗布する外壁の下地補修として採用されています。

 

 

(1) Vカットシーリング工法

 

Vカットシーリング工法は、
ひび割れに沿ってディスクカッターで幅と深さがそれぞれ10mm程度の溝を造り、
シーリング材を充填して補修するものです。

 

シーリング材は0.1mm程度の動きで切れてしまうことは考えにくいので、
防水補修として用いられてきた工法ですが、
補修跡がスジ状にくぼんで目立つことがあるため、
最近はあまり採用されなくなっています。

 

これは、補修跡が目立ってしまうと、
マンションの資産価値が大幅に低下してしまうためです。

 

(2) エボキシ樹脂注入工法

 

エボキシ樹脂注入工法は、ひび割れの内部に「エポキシ樹脂」を注入し、
充填するものです。

 

エボキシ樹脂を注入する方法としては、エポキシ樹脂メーカーが開発した
様々な方法がありますが、
一般的には、注射器のような形状の器具に輪ゴムをかけ、
自動的に注入する方法が「低圧エポキシ樹脂注入工法」として定着しています。

 

低圧エポキシ樹脂注入工法は、補修跡があまり目立ちませんが、
エポキシ樹脂が硬い樹脂のため、
ひび割れの動きに追従する性能に乏しいという欠点があります。

 

ですから、注入したひび割れの周辺で、新たなひび割れが生じてしまうことがあります。

 

また、コンクリートの一皮を持ってくる形で、
破壊し隙間を生じてしまうこともあります。

 

この欠点を改良したのが(3)の弾性エボキシ樹脂注入工法です。

 

 

(3) 弾性エボキシ樹脂注入工法

 

弾性エボキシ樹脂注入工法は、(2)エボキシ樹脂注入工法の短所を改良した工法です。

 

2成分形の硬くなるエポキシ樹脂に代わり、
エポキシ変性シリコーン系という材料を注入します。

 

エポキシ変性シリコーン系は、伸び性能を持つ1成分形の樹脂のため、
(2)エボキシ樹脂注入工法と比べると、ひび割れ追従性が期待できます。

 

注入する器具は2〜3種類ありますが、
ひび割れの表面から数mm程度の深さの範囲に注入します。

 

エポキシ変性シリコーン系材料の表面に塗装すると、
一部のシーリング材と同じように、ブリードが生じて塗料が変色する事もあります。

 

しかし、最近は、ブリードが生じないノンプリード形も開発されています。

 

 

(4) 「微弾性フィラー」塗布工法

 

「微弾性フィラー」塗布工法とは、塗料メーカー各社が「微弾性フィラー」を壁面の全面に、
0.8〜1.3kg/uと付してひび割れを塞ぐとカタログに表示していることです。

 

2003年改定のJIS A 6909「建築用仕上塗材」に「微弾性フィラー」が追加され、
「可とう形改修用仕上塗材」という名称になています。

 

現実には、この量を塗るのは困難で、
実際に塗布している量はその半分以下の量だと考えるべきです。

 

その量でもひび割れは塞ぐことはできますが、
ひび割れの動きに対する追従性には疑問があり、
JIS製品といっても「可とう形改修用仕上塗材」は、ひび割れの追従性を規定していません。

 

(5) 「塗膜防水材外壁用」塗布工法

 

「塗膜防水材外壁用」塗布工法は、材料がJIS A 6021「建築用塗膜防水材」外壁用として、
ひび割れ追従性が規定されているのが「塗膜防水材外壁用」塗布工法です。

 

この材料をひび割れに部分的に塗布する工法は、
あまり定着していませんが、有効な方法であることは間違いありません。

 

ひび割れから雨水が浸入すれば鉄筋発錆の原因となり、
鉄筋コンクリートの耐久性を著しく低下させることになります。

 

ですから、適切なひび割れ補修工法を選択し、
補修工事を定期的に行っていくことはとても大切なことなのです。